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計算根拠・物理方程式一覧
※本シミュレーターの物理演算の基礎となっている公式と参考資料(出典)の一覧です。
1. ボール初速の精密化と衝突効率 (Collision Physics & Gear Effect)
【参考資料】 USGA 限界反発係数 (COR) / 打点とスマッシュファクターの相関モデル
ヘッド重量とボール重量(約45.9g)、反発係数(COR)に基づく弾性衝突の公式に、ロフト角が開くことによるエネルギーロスと、芯を外した際のギア効果によるロスを加味してスマッシュファクターを算出します。
v8.8ではW/UとIで別々のロフトロス指数を採用: W/U cos^0.23(低ロフトでのSF維持)、I cos^0.85(高ロフトでのエネルギー散逸)。
$$ COR = 0.83 - \max(0,\; (Loft-15) \times 0.003) \quad (\text{下限: } 0.78) $$
$$ ImpactLoss = \max(0.80, 1.0 - |FaceX| \times 0.015 - |FaceY| \times 0.020) $$
$$ LoftLoss = \cos(Loft)^{n} \quad (n = 0.23\text{ W/U}, 0.85\text{ I}) $$
$$ SmashFactor = \frac{1 + COR}{1 + \frac{M_{ball}}{W_{head}}} \times LoftLoss \times ImpactLoss $$
$$ BallSpeed = HS_{est} \times SmashFactor $$
2. スピンの分離モデル (Loft / Friction / Gear / AoA)
【参考資料】 TrackMan University (Spin Loft定理 / Dynamic Loft / Launch Angle)
v9.4: 理想LA方式(BS基準)を導入。最大飛距離を生む打出角はロフト角ではなくボール初速(BS)に依存します。
TrackMan「Optimal Launch Conditions」データ(HS別最適LA)から対数モデルで較正。1Wのロフト9°でも10.5°でも同一BS → 同一理想LA(14°)となりロフト変更の矛盾が解消されます。
全番手でK係数モデルを使用(W: Kbase=4.20, I/U: Kbase=4.65)。
$$ LA_{ideal} = 161.0 - 29.7 \times \ln(BS_{mph}) \quad \text{[TrackMan較正]} $$
$$ \text{較正点:} \quad BS=141\text{mph} \to LA=14.0° \;\; (1W,\; HS\approx96\text{mph}) $$
$$ BS=91\text{mph} \to LA=27.0° \;\; (PW,\; HS\approx96\text{mph}) $$
$$ \text{参考・物理ベースライン:} \quad LA_{phys} = (1\!-\!f) \times (Loft - Lean) + f \times AoA $$
$$ Spin = HS \times Loft \times K - (LA_{ideal} - Loft) \times 50 + GearSpin $$
$$ K = K_{base} \times (\frac{32.0}{Loft})^{0.35} \quad (K_{base}: W=4.20, I/U=4.65) $$
3. ヘッドスピードの減衰 (Length Factor Model)
【参考資料】 クラブ長とスイングスピードの相関モデル / TrackMan Tour Averages
v9.2: 非対称べき乗モデルを採用。Tutelmanモデル(手の速度はクラブ長に依存しない)に基づき、長尺化のHS利得を実測データに合わせて逓減させています。
短縮時は0.45乗(1"短縮→HS約1.0%減)、延長時は0.30乗(1"延長→HS約0.66%増)。プロが44.5"を好む理由: 長くしてもHSは僅かしか上がらず、ミート率が低下するため。
バランス最適点はD0.5(D0-D1の中間)。プロのCバランス設定はペナルティなし。重い側は0.3%/pt低下。
※チューニングテーブルでは長さ変更に伴う双方向のミート率変化(短い→打点集中、長い→打点バラつき増大)も反映しています。
$$ HS_{est} = HS_{base} \times (\frac{L}{45.25})^{n} \times (\frac{305}{W_{total}})^{0.15} \times Pen_{BL} \times Factor_{height} \times Factor_{mass} $$
$$ n = \begin{cases} 0.30 & (L \geq 45.25\text{": 利得逓減}) \\ 0.45 & (L < 45.25\text{": 標準減衰}) \end{cases} $$
4. 弾道・空力シミュレーション (Aerodynamics)
【参考資料】 Bearman & Harvey (1976) / Tutelman Golf / TrackMan 実測データ
ゴルフボールのディンプルによる空気抵抗係数(Cd)と揚力係数(Cl)をスピンパラメータSから算出し、0.01秒刻みでオイラー法を用いて弾道軌跡を描画します。
ボールは打ったクラブを「知らない」ため、空力係数はスピンパラメータSのみに依存する統一モデルを使用しています。S値はスピン量と飛行速度から自然にクラブごとに異なる値をとるため、ウッド/アイアン分離は不要です。
$$ S = \frac{r \cdot \omega}{V_{air}} \quad (\text{スピンパラメータ: 全クラブ共通}) $$
$$ C_d = 0.175 + 0.280 \times S^{0.7} $$
$$ C_l = 0.140 + 0.40 \times S \quad (\text{上限 } 0.54) $$
$$ Spin_{decay} = 0.99977 \text{ per } 0.01\text{sec} \quad (\approx 2.3\%/\text{sec}) $$
5. ラン計算 (Physics Run & Friction Logic)
【参考資料】 Tutelman Golf (Bounce and Roll Physics)
落下角(Land Angle)に応じた反発減衰(Steep Penalty)と、摩擦係数の増加(Shallow Penalty)を計算し、地面との摩擦エネルギー消費からランを算出します。
$$ V_{roll} = V_{land} \times \cos(\theta_{land}) \times C_{bounce} $$
$$ Run = \frac{V_{roll}^2}{2 \cdot g \cdot \mu_{eff}} $$
6. スイングウェイト(バランス)と推奨振動数(CPM)
【参考資料】 USGA 14インチスイングウェイト測定法 / 業界標準CPM換算式
14インチ支点法に基づくトルク計算からバランス(D0等)を逆算し、ヘッドスピードとクラブ長、スイングウェイトの相関から最適なシャフトの硬さ(推奨CPM)を算出します。
$$ Torque = W_{head} \cdot (L - 14) + W_{shaft} \cdot (\frac{L}{2} - 14) - W_{grip} \cdot 10 $$
$$ CPM = (2.0 \times HS + 165) + (45.0 - L) \times 7.0 + \frac{H - 170}{5} - (BL_{pts} - 2.0) $$
7. アニメーションと運動学連動 (Kinematics UI)
【参考資料】 二重振り子モデル (Double Pendulum) / PGA Tour Kinematics
番手(クラブ長)によってスタンス内のボール位置(インパクト座標)が自動変動します。長いクラブほど早くタメが解け(遠心力)、重いクラブほど切り返しが遅れる等、物理パラメータを時間と角度に再配分しています。
$$ ImpactArm = BaseImpact (Length) - ShaftLean $$
$$ HeadAngle = ImpactArm + Lag = BaseImpact \quad \text{(ボールを正確に捉える)} $$